« 相続について | Main | 再開しますこのblog »

August 13, 2006

保険をめぐるトラブル

 複数の保険会社が、金融庁から業務停止命令を受ける事件が報道されている。処分の主な理由は、不当な保険金不払いであり、数万件に及ぶ会社もあった。保険には、生命保険、損害保険、地震保険等があるが、いずれも公益性が高く不正を防止する必要性が高いことから、保険業を営むには内閣総理大臣の免許が必要とされている。契約に基づく保険金を支払わないというのは保険制度への信頼を根幹から揺るがすものであり、厳しい処分は当然のことである。
 今日は、この保険をめぐるトラブルを二つ紹介する。
●変額保険事件
 変額保険とは、払い込んだ保険料の運用実績により支払われる保険金の額が変動する仕組みの保険であり、同様な仕組みの変額年金もある。運用実績しだいでは、高額な保険金(年金)が期待できるものの、保険会社がどのような運用を行い、それがどのように保険(年金)金額と連動しているかにつき、多様な商品設計がありうるため、通常の保険以上に、保険会社の説明義務も重く、契約者もよく理解して契約する必要がある。
 この変額保険に絡んでは、過去に大きな消費者事件が生じている。バブルで地価が高騰した際に、相続税対策として勧誘されたもので、銀行からの多額の借入金で変額保険の保険料を一括支払いさせるものである。相続発生時の節税効果や納税資金の確保がうたわれ、銀行からの融資と一体となって勧誘されていた。しかし、バブル崩壊で変額保険の運用実績が悪化すると、保険金で借入金の返済を賄えず、契約者に多額の債務だけが残るという事態が発生するようになり、社会問題化した。
 契約者が保険会社や融資した銀行の責任を追及して起こした裁判では、当初、契約者の自己責任を主張する保険会社・銀行側に有利になりがちであった。しかし、契約者の自己責任は変額保険の専門家である保険会社、また一体となって融資を行った銀行の十分な説明を前提とするものであることが次第に理解され、保険会社・銀行の説明義務違反を認定して、不法行為や契約の錯誤無効を認める判断も出されるようになっている。
 一方、変額年金については、銀行での窓口販売も解禁され、契約数・額とも増加しているが、商品設計の多様化・複雑化が進み、商品の説明が十分になされて、契約者が十分理解しているかという懸念もある。老後の生活の支えとなる年金の重要性に鑑みれば、保険会社の資産運用にも慎重な姿勢が求められるとともに、契約者においてもリスクに対する十分な説明を求め、理解する心がけが必要である。
●保険契約の転換
 最近の保険をめぐるトラブルでは、転換をめぐるものも多い。転換とは、現在の契約を活用して(積み立て配当金等を新契約の保険料に当てるなど)、新たな保険を契約する方法などと説明されている。法律上は、元の契約は消滅するのであり、まったく新たな契約が締結されるものである。
 本来は、家族構成に変動があった等により保険契約の見直しが必要な場合には有効な方法なのであるが、最近この転換を保険会社の営業員が強力に勧誘することも多い。その際に補償範囲の拡大などの転換によるメリットばかりが強調され、デメリットが説明されることがほとんどない。勧誘されている保険の大部分はバブル崩壊前に契約されたものであり、予定利率も高く、一方、転換された契約は現在の低金利政策のもので予定利率も当然ながら低い。契約者としては大きなデメリットである。
 また、転換は新たな契約であり、若い時代に定額の保険料で契約していても、転換時の年齢に応じて保険料も上昇し、病歴などの告知義務も新たな契約時点を基準に判断される。さらに、現在の契約の活用方法も多様であり、転換のメリット・デメリットは単純には判断できないのでよく検討することが必要であろう。

|

« 相続について | Main | 再開しますこのblog »

「リスクと保険」カテゴリの記事